◆女性が活躍、前作と異なる視点
「人の心は今のままでいいのかという思いを作品に込めた」。昭和48年に大ヒットした小松左京原作のSF映画「日本沈没」が、再び登場する。今取り上げる意味について、「ローレライ」で知られる樋口真嗣監督はこう語った。舞台は現代。未曾有右の危機に立ち向かい、女性が活躍するなど、前作と異なる視点も少なくない。樋口監督の話から、新作の特徴がみえてきた。
(福本剛)
昭和48年の「日本沈没」は、メディアミックスの先駆けだった。原作の出版が3月、公開は12月という異例のスピードがブームを物語った。当時史上最高の製作費5億円が投じられ、観客動員650万人、興行収入40億円の大ヒットを飛ばした。
それから33年。「地震などの災害は身近になった。一方、人はどんどん自分勝手になった。電車に乗っていたり、街を歩いているとき、他人に無関心のまま、もし災害に遭ったら…」
《駿河湾などで地震が頻発するなか、潜水艇のパイロット、小野寺俊夫(草●剛)らは、地球科学博士の田所雄介(豊川悦司)とともに日本海溝の調査を行う。海底異変を知った田所は、1年以内に日本は沈没すると推測。やがて火山の噴火や地震が起き始め…》
途中までの悲劇的展開は前作とほぼ同じだが、後半、未曾有の危機に対し行動する精神がわき上がってくる。「地震が起きたら『大変だ』。前作はそれが中心だった。だが、近年は阪神大震災などを経て災害の大変さが認識されてきた。だから、今作は一歩進んで『立ち向かう』ところを描きたかった」
小野寺や田所だけでなく、彼らを取り巻くハイパーレスキュー隊員の阿部玲子(柴咲コウ)や危機管理担当大臣の鷹森沙織(大地真央)ら女性陣の活躍も印象的だ。これらのアクションの背景には、いずれも「家族や友人、そして恋人を思う気持ちがある」という。
実は、前作の大ファンでもある。「小学生のころ、すごく印象に残った作品で、映画をつくる仕事に関心をもつきっかけにもなった」と明かし、「ただ同じ道では追いつけないと思い、中身を変えた。ぜひ見比べてほしい。まったく新しい作品になったと思う」
原作の小松とは、完成後に会って「ありがとう」と言われたという。「ほっとして、朝まで一緒に飲んでしまいました」と笑った。
15日から三番街シネマなどで公開。
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